資格の選び方

士業の資格主な士業の一覧と難易度・勉強時間・独占業務の比較

士業の資格を、司法書士・不動産鑑定士・社労士・中小企業診断士・行政書士・マンション管理士・宅建士の7つについて、独占業務の有無、最新の合格率、勉強時間の目安、受験資格で比べます。どの士業から目指すかの基準も整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

士業の資格は、名前に「士」がつく専門職の資格で、法律にもとづく独占業務を持つものが多いのが特徴です。難易度は資格によって大きく違い、このサイトで扱う士業では、合格率5%前後で勉強時間3,000時間前後の司法書士から、合格率18.7%で300〜500時間の宅建士まで幅があります。目指す士業は、合格率だけでなく、独占業務の内容と、自分の仕事や生活とのつながりで選ぶのが確実です。

このページでは、主な士業の資格を、独占業務・合格率・勉強時間・受験資格の4つの観点で比べ、どの士業から目指すかの判断基準をまとめます。

士業の資格の一覧(このサイトで扱う7資格)

資格 主な業務(独占業務の有無) 最新の合格率 勉強時間の目安
司法書士 登記・供託の代理、書類作成(独占業務あり) 5.2%(令和7年度、計算値) 約3,000時間
不動産鑑定士 不動産の鑑定評価(不動産の鑑定評価に関する法律に規定) 論文式17.6%(令和8年) 2,000〜5,000時間
社労士 労働社会保険の書類作成・提出代行(独占業務あり) 9.3%(令和8年度) 800〜1,000時間程度
中小企業診断士 中小企業の経営の診断・助言(独占業務なし) 1次23.0%(令和8年度)、2次17.6%(令和7年度) 約1,000時間
行政書士 官公署に出す書類・権利義務の書類の作成(独占業務あり) 14.54%(令和7年度) 800〜1,000時間程度
マンション管理士 管理組合への助言・指導(独占業務なし、名称独占) 11.0%(令和7年度) 約500時間(初学者500〜700時間)
宅建士 重要事項の説明など(独占業務あり) 18.7%(令和7年度) 300〜500時間

合格率は各試験の実施団体・所管官庁の公表値です。司法書士は法務省が合格率を公表していないため、受験者数14,418人と合格者数751人から計算した値です。不動産鑑定士は短答式(令和8年37.4%)と論文式の2段階、中小企業診断士は1次と2次の2段階です。勉強時間は、公式の目安がないため、講座会社が示す目安を各資格のページで出典つきで紹介しています。

独占業務がある士業・ない士業

独占業務がある士業

独占業務とは、資格を持つ人(またはその法人)でなければ、報酬を得て業として行えない業務です。

  • 司法書士:登記・供託の手続きの代理など(司法書士)
  • 社労士:厚生労働省によると、労働社会保険諸法令にもとづく申請書等の作成、提出代行、事務代理(社労士)
  • 行政書士:役所に出す許認可の申請書類などの作成(行政書士)
  • 宅建士:不動産取引での重要事項の説明など(宅建)

不動産鑑定士は、国土交通省が「不動産の鑑定評価に関する法律に規定された国家資格」と説明しており、試験合格後に実務修習を経て登録します(不動産鑑定士の難易度)。

独占業務がある士業は、独立開業したときに「その資格でなければ受けられない仕事」を持てる点が強みです。

独占業務がない士業

中小企業診断士は、中小企業庁によると、中小企業の経営課題について診断・助言を行う専門家として経済産業大臣が登録する制度で、独占業務はありません。マンション管理士も独占業務はなく、登録した人だけが名称を使える名称独占資格です。これらは、資格を「専門性の証明」として、コンサルティングや社内でのキャリアに活かす使い方が中心になります。

受験資格がある士業に注意

7資格のうち、社労士だけは受験資格(学歴・実務経験・国家試験合格のいずれか)が必要です。行政書士試験の合格も社労士の受験資格になるため、高卒の人が行政書士から社労士へ進む道もあります。他の6資格は、年齢・学歴を問わず受験できます。

目的別に見る士業の選び方

目的 候補 理由
独立開業したい 司法書士、行政書士、社労士 独占業務があり、個人から企業まで依頼がある
会社員のまま活かしたい 社労士、中小企業診断士 人事・労務、経営企画の仕事と直結する
不動産業界で働きたい 宅建士、不動産鑑定士、マンション管理士 宅建士は不動産会社に必要な資格
まず1つ取りたい 宅建士、行政書士 受験資格がなく、勉強時間が比較的短い

士業どうしを組み合わせる人もいます。たとえば、行政書士と社労士は会社の設立や許認可と労務の手続きをまとめて受けられ、司法書士と行政書士は登記と許認可の両方に対応できます。司法書士と行政書士の違いは 司法書士と行政書士の違い で詳しく比べています。

このサイトで扱っていない士業

弁護士(司法試験)、税理士、公認会計士、弁理士、土地家屋調査士なども代表的な士業です。これらは試験制度や受験の条件が大きく違うため、このサイトの比較には入れていません。最新の合格率は、それぞれの所管官庁・実施団体の公表で確認してください。

士業の資格のFAQ(よくある質問)

Q. 士業の資格で一番難しいのはどれですか?
A. このサイトで扱う7資格では、合格率・勉強時間とも司法書士が最も難しい水準です。

Q. 独占業務がない士業を取る意味はありますか?
A. あります。中小企業診断士やマンション管理士は、専門性の証明として、仕事や転職で活かせます。

Q. 働きながら取りやすい士業はどれですか?
A. 受験資格がなく、勉強時間の目安も比較的短い宅建士や行政書士は、最初の1つとして選びやすい資格です。

Q. 社労士は誰でも受けられますか?
A. いいえ。学歴・実務経験・国家試験合格のいずれかの受験資格が必要です。

筆者の見解(士業の資格)

私見では、士業の資格を選ぶときは、合格率の低さを「価値の高さ」と読み替えないことが大切だと考えます。勉強時間は宅建士の300〜500時間から司法書士の約3,000時間まで10倍近く違い、働きながらなら、その差は1年と数年の違いになります。独立を考えるなら独占業務の有無、会社員として活かすなら今の仕事との近さを先に決め、そのうえで勉強時間を確保できるかで絞り込むのが現実的です。見落としやすいのは社労士の受験資格で、条件を満たしていない人は行政書士などを先に取る順番も含めて計画する必要があると考えます。

士業の資格の関連項目

出典(一次情報)

本記事は資格・試験に関する一般的な情報の提供を目的としています。試験の日程・受験料・受験資格・講座の料金や制度は変更されることがあるため、最新の内容は試験実施団体・所管官庁・各講座の公式サイトでご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。